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 フランスの生んだ至高の才能、と称えられるジャン・コクトー(1889〜1963)の創作活動は詩、小説、絵画、演劇、音楽など多方面に及んでいますが、映画の分野でも歴史に残る名作をこの世に送り出しています。
 
 その代表作が、18世紀にルプランス・ド・ボーモン夫人の著した同名の童話を原作とし、ラレー城を舞台とした「美女と野獣」(1945)です。モノトーンの画面にこの恋物語を荘重、かつ美しくも幻想的に描き上げました。

 この作品のシナリオを描いた時、コクトーは“子供の頃に空想したイメージを、そのまま映画にしてみたかった“と、回想していますが、彼が初めてラレー城を見たとき、彼の心の中で幼い日に読んだ「美女と野獣」の思い出と、ラレー城の夢幻的な風景とが結びつき、即座にここを舞台に選んだと語っています。

 クライマックスで、青年アヴナンがダイアナの石像が放った矢に射抜かれる場面がありますが、ダイアナの門がそんな道具立ての背景としてうってつけだったのです。映画の中でのシーンにたびたび登場する重要文化財指定の実物を、身近に観て頂くのも大変興味深いことと思います。ぜひ、どのように登場してくるかをご自分の目でお確かめ下さい。コクトーのこの作品が、ラレー城なくしては生まれ得なかった作品であることが、ご納得いただけると思います。
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